Marco Barbosa Interview

今回は、3月30日「コパバルボーザ」会場で取材をした、マルコ・バルボーザ氏へのインタビューを公開します。

_DSC0100名伯楽マルコ・バルボーザに聞く

バルボーザ流指導哲学について、ミヤオ兄弟について――

――今回の来日の目的を教えてください。

コパバルボーザの大会に参加することと、日本のバルボーザ系道場を回ることだよ。
――あなたは障害者のための活動をしていて、その目的もあったと聞いています。
私はブラジルでパラリンピックの柔道のコーチをしているんだ。7月に日本の障害者の人たちと交流する予定があって、今回はその打ち合わせの目的もあったんだよ。

――まだまだ新しいやりがいを見つけて活動しているのですね。

自分は指導者だし、教えるのが仕事だ。柔術でも柔道でもそのことにベストを尽くすようにしているよ。

――中部、東海地区にはあなたの弟子が開いた道場がたくさんあります。あなたが種を巻いてここまで育ってきたわけですね。

日本の柔術はかつてと比べてあきらかに発展している。そして、多くの日本人たちがブラジルの私の道場に来てくれる。今後もさらに交流を深めていきたい。私だけでなく黒帯の弟子たちも日本に来てセミナーを行えるようになればと思っているよ。

_DSC0092_DSC0097

ミヤオ兄弟はパラナ州の支部から出稽古でやってきたんだ

すぐに才能があると感じて本部に移籍するよう勧めたんだ

――近年活躍のめざましいミヤオ兄弟ですが、シセロ・コスタの道場に来る前はもともとあなたの道場にいたと聞いています。最初に彼らを見たときの印象を教えてください。

彼らはパラナ州の出身で、私のアカデミーの支部に所属していたんだ。ある年、パウリスタ(サンパウロ選手権)に出場するため彼ら兄弟は本部道場にやって来たんだ。私は彼らの練習を見て才能が有るなと感じた。支部の代表に彼らをサンパウロに引き取りたいと話をし、二人が住むところを用意して、それから私のアカデミーに移籍することになったんだ。その後、シセロが独立した後、二人はシセロのアカデミーに移っていってしまったんだけどね。

――彼らの身体はいまでも大きいわけではありませんが、その当時はもっと小さく痩せていたのではないですか。

そうだね。いまは身体もしっかりしてきたけどあのころは本当に小さかったよ。

――あなたはそんな彼らに光るものを見つけたわけですが、彼らのどこがすごかったのでしょうか。

柔軟性があったし、グリップも強かった。あと努力、やる気が人一倍強く感じられたんだ。だから小さかったけれど彼らはとても目立っていたよ。

――気が強いイメージがありますが。

そうだね。彼らはとても強いハートを持っている。

――彼らとは喧嘩別れをしたと聞いていますが……。

考え方、方向性の違いがあり、別れることになってしまった。仕方がないね。

barbosa

柔術ではドリルを繰り返すことが大切だ

たとえ巧くなってもさらに上を目指して

打ち込みを続けるべきなんだよ

――他にもあなたのもとから多くの有名選手が育っていますが、あなたの指導方針はどのようなものなのでしょうか。

まずは柔術を好きになってもらうことだ。そして、次に覚えてもらうことは、とにかく一生懸命練習をすること。テクニックにしてもフィジカルにしてもとにかく夢中で練習をすることが大切だ。そうすれば結果は必ずついてくる。
――ミヤオ兄弟は試合会場のすみなどでドリルを延々とやっていたりします。ドリルを繰り返すことは彼ら独特のことなのでしょうか。それともバルボーザ系道場の特徴なのでしょうか。

彼らも最初の頃はあまりやっていなかった。言われてやるようになったんだよ。私は常々生徒たちにドリルを必ずやるべきだと言い続けている。たとえ巧くなってもさらに上を目指して打ち込みを続けることが大切なんだ。

――そうした考え方はあなたが柔道をやっていたころに教わったことなのでしょうか。

そうだね。柔道時代からの教えだよ。とにかく数多くやらないといけない。

――レアンドロ、ムリーロ、ミヤオ兄弟などは、とにかく攻めて攻めてというファイトスタイルですね。グレイシー的な守ってから攻めるというスタイルや後の先というような考え方もありますが……。

常に動くことが大切だし、いつも相手より一歩先にいることが重要だと考えている。先手、先手で行くこと。一歩先にいることで相手に隙ができる。

――そのためにはドリルをたくさんやり、心肺機能をあげていく必要があるということですね。

技術面だけでなくフィジカルもないと意味がないだろうね。

――筋力トレーニングについてはどのような考えがありますか。レアンドロ・ロは筋トレをしないという噂を聞いていますが。

筋力トレーニングは遅かれ早かれ始めないといけないものだと思っているよ。最近ようやくレアンドロ・ロも始めた。階級があがっていけば重い相手と戦わなければならない。特にトップ選手ともなれば怪我を予防するという意味でもフィジカルを作り上げることは必要だ。

――あなたのアカデミーではムリーロ・サンタナが師範代的な立場だと聞いています。あなたの彼への信頼とはどのようなものでしょうか。

彼のことはとても信頼しているよ。試合ではあまり良い結果を出していないし、勝つ時もあまり良い勝ち方でなかったりということもあるんだけど、やはり道場内では一番強いし、もっともたくさん練習をしている。強すぎてみんながスパーリングを敬遠するほどだ。でもみんな彼のことが大好きだし、強いがゆえに彼と一緒に練習をしたがるんだ。

――モダン柔術、ベリンボロなどの技術についてはどう考えていますか。

私はあれが「モダン」だとは思っていない。昔からあるものだからね。いまのトップ選手がやっているから流行りの技術としてそう言われるんだろうけどね。しばらくしたらまた別の流行技が出てきて「モダン柔術」だと言われるだろう。

――モダン柔術の第一人者、ハファエル・メンデスについてはどのように思っていますか。

彼については何もいうことはないよ。素晴らしいアスリートだし、そのためのハードなトレーニングをしている。彼は試合で勝つために何をすべきかをわかっているね。

――最近問題視されているダブルガードについては。

ルールを変えるべきだろうね。ルールで許されているからああなるんだよ。私だって、柔術は常に前に行き、一本勝ちを目指すものだと思う。あんな風に互いに座り合っていてもしょうがないが、競技だからルールに沿って勝とうとしてああなってしまうことは仕方がない。ルールを変えるべきなんだよ。

――ルールといえば、ちょうど今日はメタモリス3が開催されています。あのルールについてはどのように感じていますか。

たしかにすごいイベントだ。でもあれも一つのルールにすぎない。たとえ100点とられてもタップしなければ引き分け。これも一つのルールということだよ。

――レアンドロ・ロとミヤオ兄弟はいま快進撃を続けていますが、一体どこまで行けるでしょうか。

彼らには才能がある。しかし今後どれだけ長くやっていけるかはフィジカル面がキーになってくるだろうね。フィジカルトレーニングをきちんとしていれば怪我の予防になるし、選手生命も長くなる。しっかり身体を鍛えていればたとえ怪我をしても回復が早いからね。

――最後に、日本の柔術家にメッセージを。

柔術を好きでいることが一番大切だ。試合に出る選手ともなればフィジカル面が大切だけど、競技者にはいつか引退する時がやってくる。そのときに柔術を好きでなければもう続けられなくなってしまうからね。みんな、柔術を好きでいてほしいと思っているよ。

――ありがとうございました。

 _DSC1361

 

 

 



コメントは受け付けていません。